弥生時代の巨大な政治祭祀空間「伊勢遺跡」(滋賀県守山市)に整備される展示施設などの設計者が決まった。守山市が公募した実施設計者を決めるプロポーザルで、伊東豊雄建築設計事務所出身の建築家・平田晃久氏が率いる建築設計事務所が優秀者に選ばれた。平田晃久建築設計事務所(東京都港区)の提案によると、遺構展示施設は楕円形の鉄板屋根で覆い、大きな屋根はプロジェクションマッピングを投影するスクリーンも兼ねる。リング状の展望台からはAR(拡張現実)展示によって、スマートフォンなどを使って史跡風景に建物を重ね合わせることができる。
伊勢遺跡は、東西約700㍍、南北約450㍍にわたり、弥生時代後期の遺跡としては国内最大級の規模を誇る。守山市は、遺跡を保存・継承し、歴史学習の拠点・情報発信の場とするとともに、地域の交流拠点機能も備える施設を整備する。市は8月から実施設計者を公募し、平田晃久建築設計事務所に決めた。
平田晃久建築設計事務所の提案では「単純な幾何学を用いた配置と建築」を提案、遺跡展示施設の楕円の屋根は古代の舟を想起させ、屋根のシルエットは弥生式土器を、色合いは銅鐸をイメージしたという。展望台は、緩やかなスロープで上り下りし、エレベーターを設けずにバリアフリーに対応する。
建設地は守山市伊勢町の敷地5211平方㍍。予定工事費は、遺構展示施設・管理棟、展望施設が約3億2000万円、屋外外構が約1500万円の計約3億3500万円を見込む。