【コラム・不動産鑑定士トシの都市Walker】都市を見るときは、数字と肌感覚の両面で!〈20/9/18新規〉


先日、一般財団法人森記念財団の都市戦略研究所から『日本の都市特性評価』の2020年版が発表された。この調査は、3年前から毎年発表されており、「経済・ビジネス」、「研究・開発」、「文化・交流」、「生活・居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野での分析を踏まえ、今年から全国109都市(東京23区を除く)のランキング(昨年までは72都市)を掲載している。

調査結果によると、全国での総合1位は京都市、2位は大阪市、6位は神戸市で、これら関西三都市は3年連続でほぼ同順位を継続している。新聞報道では、この総合順位の発表に留まっていたが、私が注目したいのは、前記6つの分野のうち「生活・居住」分野である。

全国上記10傑には関西の都市はランクインされておらず、50位以内には、18位の奈良市、24位の神戸市、26位の吹田市、31位の京都市、39位の西宮市の5都市のみであった。

この「生活・居住」分野の基礎となる指標は、「安全・安心」、「健康・医療」、「育児・教育」、「市民生活・福祉」、「居住環境」、「生活利便施設」、「生活の余裕度」の7グループにつき、それぞれの指標(ホームページ参照)を定量化して算定されたものであるが、いずれの指標も居住者にとって生活していく上において重要なものである。ただ、全国的にみると、関西三都市をはじめとした関西各都市はそれらの水準が相対的に高くはなく、今後の課題がみえる。

一方、よく知られている調査として、リクルート住まいカンパニーの『住みたい街ランキング2020関西版』の「住みたい自治体ランキング」は、1位が西宮市、2位が大阪市北区、3位が神戸市中央区、4位が吹田市、5位が大阪市中央区で、3年連続でこのトップ3の順位に変動はない。前記調査の「生活・居住」分野とは調査対象や前提条件が異なるため、単純な比較はできないが、このような一般人の感覚ベースの調査結果は都市を知る上での重要なポイントの一つである。なお、今回の調査結果には掲載されていないが、フリーアンサーなどに貴重な意見が紛れていることがあり、参考となる場合がある。

このように、個人的には、都市を見る際、定量的な指標やデータと定性的な肌感覚の両面で見ることを心がけている。両者は時にはほぼ一致することもあるし、そうでない場合もある。むしろ後者の方が多いかもしれない。上記はその一例であろう。

また、お断りしておくが、上記のような調査で都市の全てを語れるわけではなく、あくまで一つの考察であることは言うまでもない。そもそも相対的な順位の高低や上下に一喜一憂することもない。むしろ、都市毎の得意または不得意分野が垣間見え、各都市の特性を知りうるヒントそのものが重要で、そのポテンシャルや魅力が発見されることの方が意義深いことと考える。

ちなみに、両調査は今般の新型コロナウイルスの影響はほぼ反映されていないと思われる。その点も踏まえ、来年以降、どんな変化が起きるか引き続き注目していきたい。

【著者略歴】

不動産鑑定士トシこと深澤俊男(ふかざわ・としお)。不動産業界に約30年。大手不動産サービス会社(現CBRE)を退職後、2009年に深澤俊男不動産鑑定士事務所を開業、12年に株式会社アークス不動産コンサルティングを設立。大阪市立大学大学院創造都市研究科修士課程修了。近畿大学非常勤講師。趣味は旅行。全国47都道府県に足跡がある、自称「ほっつきWalker」。