【現場取材】現代の大富豪経営者も京都・南禅寺エリアがお好き!?〈20/9/11新規〉


“南禅寺界隈別荘”と呼ばれる京都・南禅寺エリアの庭園付き邸宅。明治時代から政治家や実業家に好まれたエリアだが、現代の大富豪経営者からも人気だ。南禅寺境内に佇む「對龍山荘」は10年前に家具・インテリアのニトリが取得し、保養所・宿泊施設として活用、100㍍ほど南の「智水庵」はZOZO創業者である前澤友作氏の資産管理会社が2018年に購入した。ことし2月には「洛翠」をユニクロなどの持株会社、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が個人で取得、相場を大幅に上回る購入価額も注目を集めた。

【南禅寺界隈の別邸】

※地図は、京阪電車の沿線おでかけ情報「おけいはんねっと」から引用

南禅寺界隈別荘は、明治時代以降に別荘地として開発され、15邸の別荘で構成されるという。現代の大富豪経営者が取得したのも、これらの別荘。

【對龍山荘】

對龍山荘(たいりゅうさんそう)は、明治時代の経営者である伊集院兼常の別荘として造営され、呉服商の市田弥一郎が譲り受けて改修した。その後、庭園は明治の名造園家である小川治兵衛(七代目)が作り直した。長らく市田が所有していたが、2001年12月に東京の不動産投資会社が取得した後、10年11月にニトリホールディングス(札幌市北区)に売却した。ニトリは自社の保養所・宿泊施設のひとつとして活用、従業員とその家族は1人1000円で利用できる。

【智水庵】

智水庵(ちすいあん)は、実業家の横山隆興の別荘として造営され、小川治兵衛(七代目)の手による庭園が有名。ZOZOファウンダーの前澤友作氏の資産管理会社「グーニーズ」が18年6月に個人から取得している。

【洛翠】

そして、洛翠。実業家の藤田小太郎の邸宅として造営、日本郵政共済組合(東京都千代田区)、日本調剤(東京都千代田区)を経て、2月に柳井氏が個人で取得した。取得価格は80-90億円程度とみられる。5000平方㍍超の広さを誇る庭園は小川治兵衛(七代目)が手掛けた。庭園は琵琶湖を忠実に模した池のほか、画仙堂、不明門(あけずのもん)、渓猿亭(茶室)などの建築物が残る。

【豊臣時代に伏見城内にあった門を移築した洛翠の不明門】

これら3邸宅は、庭園を近代日本庭園の先駆者といわれる小川治兵衛(七代目)が手掛けた点で共通し、価格はいずれも数十億円といわれる。

呉服商・寺村助右衛門の別邸で、小川治兵衛(七代目)による庭園がある料理旅館「菊水」も、化学メーカーの会長が8月末に取得したばかり。南禅寺界隈に別荘を保有することは、現代においても変わらず実業家にとって最高のステータスのようだ。

【菊水】