JR三ノ宮駅から南に約1㌔に位置する臨海部で再開発事業が進んでいる。超高層マンション2棟、オフィス・商業ビル2棟、アクアリウムなどが入る文化施設などを整備する複合開発で、先行するオフィス・商業ビル棟2棟の躯体が姿を現した。両棟は20年内にも完成する見通しで、倉庫が主体だった神戸・新港エリアの新スポットとして注目を集めそうだ。
JR三ノ宮駅からフラワーロードを南下し、阪神高速道路の高架をくぐれば神戸・新港エリアが姿を現す。まず真っ先に目に飛び込んでくるのが、レトロな神戸税関の建物で、左手には神戸市の文化拠点・KIITOも見える。ただ、全体的には物流施設が主体のエリアで、神戸中心部から徒歩圏のわりに開発は進んでいなかった。
神戸市は、この西側の一部約2・7㌶を対象に「新港突堤西地区第1突堤基部再開発事業」の事業者を公募し、2017年に10月に住友不動産(東京都新宿区)などを選定していた。
事業は北ブロックにマンション2棟、オフィス・商業ビル、立体駐車場の計4棟を、南ブロックにオフィス・商業ビルと文化施設の計2棟を建設する。
まず北ブロックを見ていこう。敷地は東西に長い長方形で、中央の北側に立体駐車場、南側にオフィス・商業ビル、東西の両側に超高層マンションを整備する。
【GLIONの本社ビル】
オフィス・商業ビルは、輸入車ディーラー事業などを手掛けるGLION(神戸市中央区)が本社として使う。10階建てのビルはすでに躯体が建ちあがっており、12月下旬の完成を目指している。
【立体駐車場棟】
また、その北側で建設が進む立体駐車場棟も躯体工事が進んでいる。
【マンションの計画地】
北ブロックの東西にそれぞれ建設する分譲マンションは、住友不動産と関電不動産開発(大阪市北区)が共同で開発する。マンション名は「ベイシティタワーズ神戸」で、ともに27階建てのWESTとEASTで構成、総戸数はちょうど700戸。347戸のWESTは23年1月中旬、353戸のEASTは24年9月下旬の完成をそれぞれ予定している。現在は掘削工事や山留工事が始まった段階だ。
【マンション建設地では地下工事が進んでいる】
続いて、南ブロック。東側に8階建てのオフィス・商業ビル、西側に4階建ての文化施設を整備し、北ブロックとは歩道橋でつなぐ。
【南ブロックのオフィス・商業ビル】
オフィス・商業ビルは、すでに躯体が建ちあがり、前面にガラスなども設置されている。通信販売大手のフェリシモ(神戸市中央区)が計画、本社部分と同社が運営するクリエイティブラボなどのオープンスペースに分かれており、集会場や展示場、物販・飲食店舗を整備する。
【文化棟の建設地】
西側の文化棟は地上躯体工事を進めており、合同会社AQUART神戸(東京都千代田区)が建築主となる。ウエスコなどの事業体が運営する水・水族・アートが融合したアクアリウム「AQUATIC」やGIONグループが運営するウエディング・クラシックカーミュージアムを設ける。完成は21年5月末の予定だ。
神戸・臨海部の倉庫街を人が住み、働き、集う場に変える再開発事業。来年の晩春までには、分譲マンションを除く建物が完成する。今回の対象地の東側に位置する「新港第2突堤・その基部」(約2・7㌶超)でも神戸市は同様な事業者の公募を計画中で、神戸・新港エリアの建設ラッシュは当面、続きそうだ。