大阪・堺筋本町で超高層マンションの開発ラッシュが起きている。現在は2棟が建設中で、いずれも2021年に完成、さらにもう1棟も9月末から新築工事に着手する予定だ。供給戸数は3棟合わせて1600戸を超す大量供給となる。3棟に共通するのは、いずれもオフィスビルをマンションに建て替える点で、堺筋本町が“働く場”から“暮らす場”にシフトしている象徴的な事例となりそうだ。
3棟の中でもっとも規模が大きいのは、住友不動産(東京都新宿区)が開発を進める「シティタワー大阪本町」。りそなグループ大阪本社ビルの西側に位置する約5600平方㍍の敷地に、48階建て延べ8万8229平方㍍のマンションを建設中で、855戸を供給、「大阪市で単独売主として大阪最大規模」(同社)という。建物高さは165㍍。
【躯体の建設が進む住友不動産のシティタワー大阪本町】
大阪市中央区備後町と安土町にまたがる敷地内には、瀧定大阪(大阪市浪速区)の旧本社ビルを含む事務所ビル4棟が建っていた。住友不動産は、瀧定大阪から2棟、新生紙パルプ商事(東京都千代田区)とりそな銀行(大阪市中央区)から各1棟を取得、解体後に超高層マンションに建て替えている。建物の竣工は21年12月中旬、入居予定日は22年9月下旬としている。
中央大通沿いで建設中なのは、九州旅客鉄道(JR九州、福岡市博多区)が開発する超高層マンション。帝人(大阪本社・大阪市北区)の大阪本社ビル跡地に、免震構造を採用した37階建て延べ4万6895平方㍍のタワーマンションを建設している。建物高さは137・5㍍。
【21年2月に竣工するJR九州のタワーマンション】
総戸数296戸のうち、144戸は3-14階に配する賃貸マンション「RJR堺筋本町タワー」で、残りの152戸が15階-37階の分譲マンション「MJR堺筋本町タワー」となる。大阪メトロの堺筋線と中央線の堺筋本町駅と直結の好立地で、21年2月下旬の竣工、21年4月中旬の入居予定日を計画している。帝人は17年5月に大阪本社を「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」(大阪市北区)などに移転していた。
そして、9月末から新築工事に着手するのが、近鉄不動産(大阪市天王寺区)などが計画する44階建ての分譲タワーマンション「(仮称)中央区久太郎町PJ」。近鉄不動産のほか、大和ハウス工業(大阪市北区)、名鉄不動産(名古屋市中村区)、JR九州、総合地所(東京都港区)が、44階建て延べ5万2191平方㍍のマンションを共同で開発する。総戸数は500戸超を見込む。建物高さは153㍍。
【近鉄不動産などがタワーマンションを計画、9月末から新築工事に着手する】
敷地は堺筋に面し、プロルート丸光(大阪市中央区)の大阪本店や店舗が入っていたビルの跡地を開発する。マンションの完成は24年3月末の予定だ。
これら3棟の開発地は、服地卸の瀧定大阪、繊維メーカーの帝人、衣料問屋のプロルート丸光といういずれ繊維・衣料関連の会社が本社を置いていたという過去が共通する。繊維・衣料業の会社が集積する堺筋本町エリアから、タワーマンションなどが建ち並ぶ居住エリアに変貌しつつある。