3月末に閉園した総合レジャー施設「みさき公園」(大阪府岬町)――。撤退した南海電気鉄道(大阪市浪速区)に代わって地元自治体の岬町が新たな公園として再整備する取り組みが動き始めた。従来の遊園地や動物園、イルカ館、プールなどの施設から、グランピングやアスレチックなどアウトドア・レジャー、自然を主体とした公園として生まれ変わる方向で、町が選んだ民間事業者が整備や維持管理・運営を担う。12月から事業者の公募を始め、全面開園は2023年7月ごろを目指している。
1957年に開園したみさき公園は、動物園やイルカショーなどファミリー層に親しまれたが、レジャーの多様化で来園者が減少、赤字経営が続いたことから運営する南海電気鉄道は撤退を決断し、3月末に63年間の歴史に幕を閉じた。
岬町は閉園前から公園の存続を最優先する方針を掲げて南海側と交渉、南海から土地を無償で譲り受けることは決まったものの、後継事業者との交渉はまとまらなかった。これを受けて、町は独自に民間事業者を公募し、民間側に施設の整備や維持管理・運営を任せることになった。現在は公園管理事務所やトイレなど一部を除き、既存施設の解体作業を南海側で進めている。
新公園として町が掲げた基本的な方向性は、①アウトドア・レジャーを思いきり楽しめる公園、②人が集まり、交流する賑わいの公園、③みどり豊かな自然に囲まれた憩いと癒しの公園、④親と子が一緒に学び遊べる公園、の4つ。従来の遊園地や動物、プールのある公園から、自然を主体とした公園に舵を切る。
事業者は公園の利用料や、カフェなどの飲食施設のサービス料などを収入とし、町には土地の使用料を支払う。岬町都市整備部産業観光促進課によると「公園の維持管理費を賄うため、低額ながら入園料を取る必要があるのか、それとも物販などの売上で間に合うのか、民間事業者と対話を通じて決めていきたい」と話す。
大阪湾を望むみさき公園は、敷地面積が全体で約33・8㌶。このうち、保安林エリアの1・5㌶を除く32・3㌶を施設の対象範囲とする。
現在は、民間事業者との対話に向けた準備を進めており、12月から事業者の公募をスタート、21年3月ごろに事業者を決める。全面開園は23年7月ごろを予定しているが、「町民から早期の開園を望む声が多い。町として21年4月から一部を先行開園したいとの思いを持っている。一方で、新型コロナウイルスの拡大などもあり、それが実現可能かをこれから判断したい」(産業観光促進課)。
大阪や和歌山の住民に長年にわたって親しまれてきた、みさき公園。かつての輝きを再び取り戻せるのか、再生のゆくえに注目が集まる。