阪急・神戸三宮駅で建て替え中の新たな駅ビル「神戸阪急ビル東館」がその全貌を現した。中低層ビルが林立する駅北側エリアでは、29階建て高さ約120㍍の存在感は他を圧倒する。低層部に店舗やコンコース、中層部にオフィス、高層部にホテルが入る複合ビルで、最上階は港街・神戸を一望できるレストラン併設型の展望フロアを設ける。低層部は旧神戸阪急ビル東館のデザインを継承、お馴染みの景色が蘇る。2021年春の竣工に向けて、工事は最終段階を迎えている。
【圧倒的な存在感を示す】
阪急電鉄(大阪市北区)が整備するビルは地下3階地上29階建てで、地下2階から地上3階に商業施設とコンコース(コンコースは地上2階まで)、4階から15階にオフィス、17階から28階にホテルが入る。最上階の29階はレストランを併設した展望フロアとなる予定だ。建物全体に占める用途別の面積割合は、オフィスが40%、ホテルが27%、商業施設が19%となっており、オフィスとホテル主体の構成であることが分かる。
【ビルのフロア構成】
建物でまず目を引くのが、低層部のデザイン再生の取り組みだ。大きなアーチ状の窓と円筒形の立面を配し、永らく市民に愛されてきた東館のデザインを引き継ぐ。
【大きなアーチ状の窓と円筒形の立面が目をひく】
低層部に入る商業施設は、入居テナントは現時点で明らかにしていない。既存ビルの地下1階から地上2階に入っていた商業施設は延べ約3000平方㍍だったが、新ビルでは2倍近い延べ約5300平方㍍に広がる。
【3階まで商業施設が入る】
中層部のオフィスは、オフィス部最上階の15階に神戸市の産学交流拠点が入居する。施設の広さは延べ603平方㍍で、連携交流促進、ビジネス創出・ビジネス成長支援、情報発信、医療産業都市推進の側面支援の4機能を担う。神戸ワーキング施設の核として、各施設を利用できる共通パスの発行も検討する。利用料は、月額会員が月1万8000円、1日利用が1日当たり1800円を想定している。瞑想や昼寝可能なスペースも整備する。施設は、神戸新聞社と大手監査法人のトーマツが運営する。
【中層部のオフィスには産学交流拠点も入る】
ホテルは、阪急阪神ホテルズ(大阪市北区)の宿泊主体型ホテルが入る。客室数は209室で、ビジネス客と旅行者のホテル需要を取り込む。快適な眠りを重視したホテルのブランド「レム」の上位ブランド「レムプラス」の関西1号店となる。従来の「レム」に比べて、ダブルルームにベッド幅160㌢㍍のクイーンサイズを標準採用するほか、TOTOの新機能シャワー「ウォームピラー」を導入する。
【駅の反対側がらビルを望む】
先行して利用されているのが、阪急神戸三宮駅東改札口から市営地下鉄三宮東改札口をつなぐ動線部分。エスカレーターはこれまで上りのみだったが、下りのエスカレーターなどを整備、乗り換えの利便性が向上した。
【市営地下鉄三宮東改札口をつなぐ階段とエスカレーター】
旧神戸阪急ビル東館は、1936年3月31日に竣工、1995年1月の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた。震災前は阪急百貨店や映画館などが入居していた。95年12月には駅機能の復旧に合わせて暫定的な建物として再開業、建て替え計画の検討などが続けられていた。
【1936年当時の旧神戸阪急ビル東館】
17年7月から始まった新築工事から約3年。すでに躯体は姿を現し、今後は内装など仕上げ工事が本格化する。神戸・三宮の新たなランドマークは21年春に竣工する。
【21年春の完成が近づいている】